土佐派の家の特色について
 今週のゲストは建築設計士の福島高明さんです。今日のテーマは「土佐派の家の特色について」でお話を伺います。
 高知県の材木や素材を使用した、建築の「地産・地消」運動なのでしょうか?
高知は雨が多く、しかも豪雨になることがあります。日差しも強く自然条件は厳しいものがあります。「土佐派の家」はどのような特色があるのでしょうか?
高知県はさきほど紹介がありましたように、雨が多く風が強い。そして日差しが強い。そういった悪条件に重ねて、湿度が高いですね。東京などに比べて夏場などは、10%くらい湿度が高いです。
 ひじょうにじめじめした地域です。ひさしを深くして風があるときでも開放できて、公開的な風が入ってくる。マンションなどはちょっと風が吹くと窓が開けれない。そういったものにあわせて、自然素材、漆喰とか、木とか、和紙とかを使用して調湿性の素材を使用しています。だから湿度が高くても、調湿効果があり、土佐派の家では快適な暮らしが出来るのです。それが土佐派の家の特色です。
 福島さんが設計された「土佐派の家」。建築計画のとき配慮したことや、苦労されたことはどのようなことだったのでしょうか?

 そうですね。土佐派の家と言いますのは、敷居が三本溝と言いまして、3枚の引き違いの戸を、木でこしらえました建具を取り付けます。
 施主さんによっては、アルミサッシが良いという人もいます。機密性が高くて、隙間風が入りませんし。


 実際アルミサッシの3枚引き違いは現在廃盤になっています。ちょうど呉線と言って、施錠し、外に簡単に開けれるものがサッシにはついています。それがひっかかりやすいので廃盤になっています。


 障子のほうは実際に3枚引き違いに出来ますが、ちょうど真中の雪見の部分を開けますと、外のサッシの枠が真ん中に来て、せっかくの風情がなくなります。そういったことがありまして、工業製品の流れと生活観が違っていまして,「合わなくなっている」というのが実情です。

福島高明さん
 土佐派の家は、高知の風土にあった建築様式で、地元の素材を使用することは理解できました。ただきになりますのは、土佐派の家の建築費用はいかがなものなおでしょうか?高知県の平均的な所得で、30代の人達が無理なく建築できる価格なのでしょうか?
 建築費用でいきますと、土佐派の家は坪当たり65万円程度かかります。土佐派の家はコスト的にはかかります。
 土地の価格を上手く抑えて工夫すれば何とかなるのではないでしょうか。ご夫婦共稼ぎで、車が2台置かれたい方。50坪程度の家に住まわれたいでしょうから、坪20万円で土地を取得され、建物の2000万円かければ35坪の2階建ての家でも3500万円に押さえれるわけです。
 平均的なご家族の予算とすればぎりぎりのところかなと思います。
 大工さんは坪60万程度で出来ると言われる方がいます。でも土佐派の家を建築される施主の方はこだわりがあります。家屋が土佐派の家であれば、塀だとか、カーポートがアルミ製というのは合わないと言うことになります。当然オプションですが、そうした分が含まれまして坪65万円ということになりますね。

 また現代の乾式工法ではなく、湿式工法(壁などは現場で左官工事で施工。漆喰などは乾燥時間がかかります。)です。工期が乾式工法が3ヶ月であれば、4ヶ月以上かかります。当然施工会社の経費もかかります。
 何10年も住む家ですから1ヶ月長くかかっても十分時間かけることが大事であると思います。

 「土佐派の家」は県外にも進出しているのでしょうか?市場の評価はどうなのでしょうか?
 高知から県外に進出しています。大工さんが実際に行かれて建てている例もあります。それでも県外の建築家の人が逆に団体で見学に来ますね。自分たちの地域で土佐派の家をアレンジした部分で建てて行きたいということですね。
 何回も見学に来られます。高知の技術が外へ出て行っています。そんなことで土佐派の家のブームが出来ているのではないかと思います。
 行政側の協力はいかがでしょうか?公共建築物への採用事例はありますか?また今後増えていくのでしょうか?
 それは山の木を間伐しないと保水力が落ち、水源である山が荒れることは困りますからね。県は積極的に県産の木材を使用した建物を建築しようという流れはあります。
 東津野村の町営住宅とか、高知市上町の城西裏の竜馬が生まれたまち記念館も土佐派の家の公共建築物です。土佐派の家のモデルです。
高知市立竜馬の生まれたまち記念館も「土佐派の家」です。
 増えていく傾向はあるということですね。
 ありますね。県も市も積極的ですね。
 気になりますのは、「土佐派の家」を支える建築業界の技術者は育っているのでしょうか?瓦や壁、木材や仕上げ工程など特色があると思われますが。
 高知ならではの素材は、和紙。漆喰です。県外から注文が来るぐらい生産的にはやや右肩上がりです。後継者にも恵まれています
 若い人が和紙を使った照明器具だとか杉材を使用した家具だとか、これからアレンジしたいモダンなものなどこしらえようという動きはありますね。
 プレカット工法はやらなくて、在来工法でノミを使用して材木加工をしています技術者の技能の保存も必要だからです。材木のほぞをコンピューターでカットするのではなく、大工さんが伝統工法で掘り込むことを土佐派の家のコンセプトにしています。
 設計監理協会や建築士会などの取り組みはどうなっているのでしょうか?
 高知県設計監理協会というのが正式な名称です。私が所属しています。県の森林局のなかに「木と人出会い館」というのがあります。高知市御座のほうでもエコ明日アス馬路で、毎週土曜日に建築士が住宅相談をしています。
 そこへ来られる方は木の住まいをしたくてご相談に来ます。
 和紙などを活用した器具なども開発されているのでしょうか?
 設計監理協会のほうで、和紙を使った照明器具や、県産木材を活用した家具などの販売もしています。
土佐派の家につきましては、高知県設計監理協会のホームページを参考ください。福島高明さん設計の住宅も掲載されています。
http://www.sekkan.i-tosa.com/07_tosaha.php
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