グローバル社会と地域社会について
  今週のゲストは高知大学人文学部助教授の蕭紅燕(ショウコウエン)さんです。今日のテーマは「グローバル社会と地域社会について」お話を伺います。
 深刻な対立が一方であるなかで、世界は経済が統合されつつあります。中国もWTOに加盟いたしました。より安価なものが世界中を駆け巡り、スピードが速くなっています。
 株などで大金を手にする人がいる一方で、まずます貧しくなる人たちも増加しています。この動きをどう考え対処したら良いのでしょうか?
日本以上に中国では貧富の差が出てきているようです。経済成長は著しいのですが一方で失業者も大勢いるようですし。
 何かせわしい世の中になり、なかなか止まれないようなのですが。そのあたりはどのように思われますか?
 即答は難しいです。わたしは北京生まれの北京育ちです。北京では古い民家が取り壊され、どんどん高層ビルが建設されていて、 世界中の建築家が北京に集うという噂です。こ北京の住民たちはそれを好意的にとらえているよです。
 現地に住む人にとって幸せとは何かを考える必要があります。

 先般も兵庫県尼崎市で大きな列車転覆事故がありました。あれも運転手の人が時間に追われ、急ぎすぎてカーブが曲がれなくなり大惨事になりました。でも運転手がなぜ急がなくてはならなかったのか?それは通勤客や利用客が時間に遅れることが困るからでしょう。遅れると大量の苦情が鉄道会社に寄せられていたそうです。
 何故それほど忙しく、1分1秒を争うような生活になるのでしょう。そういう社会になったのでしょう。都市にいないのでわからない部分はあると思いますが。
 融通の利かない管理社会になっていますね。
 それが大きな原因ではないでしょうか。
 今までそういう日本の管理社会は、ヨーロッパやアメリカで評価されていました。(鉄道や交通機関が時間に遅れず正確であることなど)
 最近では弊害が指摘されるようになりました。変化には追いつかない。世の中は刻一刻と変わりますね。個人が大事にされていない社会のように感じますね。
和紙の原料 楮(こうぞ
楮(こうぞ)の皮を干している。
 
 大きな企業の不祥事が目立ちます。悪い情報が上へは上がらない。異様な社会風土、企業風土が大惨事を起こしました。難しい問題ですね。
 誰でも胸襟を開いて意見を語り合えるような雰囲気が欲しいです。大学もさることながら、構造改革とは言え、どういう状況に直面しているか、さてどうしようか、ということを地元の朝倉の人たちとも交流をしないのです。
 最近「スローライフ」とか「スローフード」という言葉をよく耳にいたします。これは「昔へ戻れ」という懐古主義なのでしょうか?「地産地費」という言葉も高知県ではまたよく使われていますが、そのあたり蕭さんはどのように思われますか?
 地産地消はとてもよい動きです。ところが日本は「グローバル社会」もそうですが、横文字をしきりに使いたがりますね。
 工夫すれば、スローフードは「伝統食」、スローライフは「伝統的な暮らし」とかになります。
 単なる懐古主義ではありません。昔に戻れといわれても冷蔵庫はともかく、洗濯機なしの生活では現代人はとても耐えられませんね。特に女性は。
 自分なりに環境に優しい暮らしを工夫すべきです。生ごみを自分で処理したり、ガソリンを節約したりとか。
 今とかく問題になっていますが、野焼きは環境にやさしいことですね。都市では大量の廃棄物やごみを平気で排出しているのにもかかわらず田舎の野焼きまで規制するのですね。国がそこまで民衆の暮らしにまで管理しようとしいます。
和紙の原料 三椏(みつまた)
 昔の日本人は「座って半畳。寝て1畳」という考え方もあり、あくせくしませんでした。無常観とかありました。経済の発展とともに失ったのは自然環境だけではないように思えます。そのあたりはどう思われますか?
 わたしの好きな江戸っ子の暮らし、長屋暮らしが舞台となる落語があります。落語に出てくる人物は「足るを知る」人々ばかりです。忘れられた日本人です。
 昔は「もったいない。そんなことをしたら天罰が当たる」というような自然への畏敬の念がありました。
 世界がグローバル化する一方で、形を変えた民族主義や、排外主義がどの国でも問題になっています。その原因はどのようなところにあるのでしょうか?足元の地域社会を見直す必要があるのではないのでしょうか。
大豊史談会の石川先生にご案内いただき、旧立川番所で記念撮影。
 
 同感です。最近の高知新聞で「国際人とは何か」という面白い指摘がありました。「国際人とは英語が喋れる人ではなく、英語が喋れなくても自国の歴史や文化を説明できる人で」と紹介されています。
 なるほどと想いました。自国の歴史、自分のふるさとの歴史と文化をきちん考えと次世代に伝えることが大事なことです。その点は山師の人たちがまともであり。学ぶべき点がたくさんあると想います。
大豊町東豊永では三椏をつくる農家がいる。
* 写真は蕭紅燕(ショウコウエン)さんに提供いただきました。解説もしていただきました。
7月番組に戻ります