ソウルの親水空間「清渓川復元事業」と新堀川

 今週のゲストは、新堀川の歴史と生態系に高い関心を持たれておられる下司孝之さんと西岡謙一さんです。
今日のテーマは「ソウルの親水空間「清渓川(チョンゲチョン)復元事業」と新堀川」についてお話をお聞きします。は韓国ソウルを流れていました。昔は高速道路が通っていましたが、ソウル市は高速道路を撤去し、河川を復元し、親水空間を最近実現させました。
華やかな式典などノ・ムヒョン大統領が出席して執り行われていました。
どのような国家的な意味があるのでしょうか?

下司 私は韓国が軍事政権から文民政権に変わり、文化国家を目指しているそういう大きなアピール力があると思います。

 それで、韓国と言いますと日本人には「遅れている」「汚い」というイメージを持たれる人が多かったです。
 日本より先にこういうことを成し遂げたという驚きがありますね。

下司孝之さん
清渓川復元事業というホームページは、韓国語、英語、中国語、日本語で表記されています。それだけ国ぐるみで力を入れられているのが理解できます。親水空間でソウルの都市イメージを改善し、アジアの観光と国際金融センターの中心を狙っているようです。
下司 そうですね。この場合はソウル市長が高速道路を撤去し、この川を「暗渠から解放する」ということを宣言しました。すごいことで、清渓川(チョンゲチョン)を復元するということで。400億円ぐらいの費用をかけてやったわけですね。
 やはり国家的な意気込みを感じますね。
(復元前)清渓川(チョンゲチョン)復元事業の様子 ホームページより掲載しました。(復元後)
一方新堀川は、暗渠で覆われようとしてしています。都市計画道路の伸長によるものです。ソウルは400億円かけて清流を復元しました。高知県は100億円かけて新堀川を埋め立て、自動車道路をこしらえようとしています。「落差」を感じますが?
下司 落差というものどころではないですね。韓国は復元したのですね。こちらはこれから埋めようとしています。ですからこれはどうなんだ。何年遅れているのだと思いますね。
 自分は思いますが、川があるという財産価値を少しは考えましょうと。観光や商業が復活していくことになりますね。市の中心をどうしようと大金をつぎ込むのではなく、お金をかけなくても今ある資源をおいていけば、いいのではないかと言うことですね。
現在の新堀川の様子(計画前)
計画道路完成後の新堀川の予想図です(県都市整備課)
(事業完成後)
 中心市街地の再生、スプロールの是正は地方都市のテーマになっていますよね。新たな資源の見直しは歴史的な資源と同時に、河川の価値もおおきいのでしょうか?

西岡 新堀川に繋がるはりまや橋商店街の近くの川も、埋め立て時は川が汚いからということでした。なにも考えずに埋めました。今から考えたら、はりまや橋の下でハゼが釣れる。日本的な観光地になったでしょう。あのまま置いておけば、お金も賭けずに今の中心市街地は元気になっていたでしょう。


 中心商店街は元気がないとかいわれていますが、何も新たな設備や箱物を作らなくても良いのです。今はそういうソフト的な感じの演出なり、それで蘇ると。


 それを「出来ることから実践」でそれを新堀川から小さな観光資源になるだろうということで取り組んでいます。

西岡謙一さん
 600年頃のソウルのゆかりを感じさせるような記述もあります。新堀川も負けないぐらいの歴史的な価値もあるようですね。
600年ごろの清渓川(チョンゲチョン) つい最近まで高速道路に覆われていました。

下司 私が思いますのは観光客は何を見に来るんだろうということです。昔のように宴会して酔っ払って移動のバスでは寝ていた。そういう観光では今はありません。
 目的を持って、来るわけです。川があるということは、一般的に道路を埋め立ててこしらえることではなくて、川があれば川を見に来るのです。
 そこのところをかんがえなくちゃいけない。そう思っています。
 清渓川は観光的な価値を韓国政府もソウル市も強調しています。新堀川にも観光的な価値はあるのではないでしょうか?もうすこし具体的に説明をお願いします。
高速道路を取り外し、このように河川を復元し見事な親水空間をソウル中心街にこしらえています。
 
下司 つまり大阪であれば道頓堀。清渓川(チョンゲチョン)はソウルの道頓堀なんですね。ですので復元したのです。東京の日本橋も東京のシンボルだから今上に高速道路がかかっています。これを外したほうが東京には良いことだという意見が沢山出ています。
 では高知の道頓堀はどこなのかと言いますと、それは新堀川です。だからそうではないはりまや橋というのですが、残念ながら埋め立ててしまいました。
 ですので今新堀川を埋め立てるのはやめてほしい。
 はりまや橋商店街と平行しているはりまや公園というのでしょうか、あの公園も川を埋め立ててこしらえたのですが、今は人工の小川をこしらえていますね。やはり親水空間というものが、人間にとっては必要なのですね。都市の中心部には特に必要であるという証拠になっていますね。
 西岡さんにお聞きしますが、新堀川まちなかウォークの計画はあるのでしょうか?郷土歴史家の谷さんの講演もありましたし。周辺には歴史の宝庫のように思われますが・・。散策すれば勉強にもなると思いますが・・
西岡 自分などもはりまや橋金曜サロンに出てきますので、1週間に1回廻るようなものです。市民の人達が気軽にまわるように、ある程度の説明と理解を出来るようにしたら、改めて大掛かりなことをしなくても常に誰かが歩いてまわっているということにもなるでしょう。
 途中に立て看板やちょっと補助的な情報をつけておくとか。なんかしらんが新堀川のまわりに人が沢山集まってきている。そういう感じでウォークというか散策が自然に出来るということではないでしょうか。
気がつけば多くの史跡は一杯あります。
 
 それだけ歩いて廻れる距離、もしくは自転車であればすべて廻れる範囲の距離に歴史的資源とか、自然空間(ビオトープ)などがありますね。そのあたりは観光資源としても将来有望ではないでしょうか?

下司 自動車道路では人は来ない。よさこいまつりでも商店街の中を人が練り歩くから人が来るわけですからね。そこを考えていただきたいですね。

 人間の規模、ヒューマンスケールで新堀川周辺にはたくさん体験できるものがたくさんあるということですね。
下司 さえんばあたりの商店街の振興にも役立つことは出来るでしょうね。
清渓川復元事業というホームページ     http://japanese.seoul.go.kr/chungaehome/seoul/main.htm